conserve
滋賀県某河川におけるハリヨの保全方法を探る
希少淡水魚の正しい保全活動を地域の人々と協力して進めていくことにより、更なる保全事業の発展へとつなげ、世界中に環境管理に対する意識改革をもたらしたいと考え活動しています。
ハリヨの保全活動は醒ヶ井保護区などで行われましたが、誤った保全活動により近縁種のイトヨが混入した結果、遺伝子汚染が進み、純粋なハリヨは絶滅してしまいました。保全方法を決定するためには、個体数や生息環境といったさまざまなデータが必要となります。そのために生息地に行き調査を行い、推定個体数などのデータや個体サンプルを収集し、その調査で得られたデータやサンプルをもとにDNAを解析し、交雑していないかどうかの確認や個体群存続性分析(以後PVA分析と表記)を行いました。
PVA分析とは、決定論的要因や確率論的要因を基に、個体群動態や絶滅リスクを評価する手法です。調査した結果をもとに過去に行われた保全活動などを参考にし、私たちなりに調査地点に生息する当該個体群に適した保全方法を導き出したいと考えています。
私たちが調査している河川は、大型河川でありながらハリヨが生息していると考えられており、さらには多くの湧水地が含まれ、比較的大規模な個体群が生息しています。そこから調査河川でのハリヨ保全を行うにあたっては、まず調査河川全域(およそ16km)を徒歩にて観察し、ハリヨの好む環境(水温15℃前後。流れが緩やかである。水草が繁茂している。これらの全てが当てはまる地点)を探します。各地点においてハリヨの有無を採取によって確認し、生物相を把握するためハリヨ以外の生物を採取し、その地点の環境を知るため水温、気温の計測を行い、ハリヨの分布域を明らかにします。更に標識再補法を用いて個体数の推定を行い、遺伝子工学的手法により、保全すべき価値の高い純粋なハリヨであることを明らかにしていきます。
更新日:2019.12.26 ※記事の内容は投稿当時のものです