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中池見ミニ田んぼサポーター事業

今では希少な田んぼの生きものたちが当たり前にいる水田環境を市民ボランティアによって守る取り組みです。一組ミニ田んぼ一区画を手作業でお世話いただくことで生きものの豊かさが実感でき、継続的な保全につながっています。

中池見湿地(福井県敦賀市)は市街地からほど近い、周囲を山に囲まれた広さ25haほどの盆地状の湿地です。特異的な地形・地質や生物多様性の高さが注目され、2012年ラムサール条約湿地に登録されました。中でも多くの絶滅危惧種を育んでいたのは、昔ながらの人の手による田んぼです。その田んぼもさまざまな経緯の中でほぼ全域が放棄されヨシ原などに遷移し、調査研究・里地景観の創出のために小規模な耕作が20aほどで行われています。多くの生きものを育んできた小さなため池や湧水・水路などの多様な水環境は、畦の消失と共に湿地に埋没し均一化しつつあります。中池見湿地の田んぼや周辺の水路などを維持したい、そのためにも関心をもって力を貸してくださる市民の参加が欠かせないと、2011年より「ミニ田んぼサポーター事業」を始めました。

ミニ田んぼとは、5m×5mに区切った小さな田んぼのことで、ミニ田んぼサポーターは昔ながらの手作業により田んぼの生きものたちが当たり前にいる水田環境を守る田んぼの生きものたちの応援団です。一区画ずつを市民サポーターに割り当て、田植えから稲刈りまでお世話いただき、自分たちが育てたお米を持ち帰っていただきます。4月初めに、ミニ田んぼの意義を理解いただくためのガイダンスと株踏み体験(昨年の稲の株を泥の中に踏み込む)、4月下旬に田植え、5月~6月に草取りをしながら、希少な植物は稲刈りの邪魔にならないように畦際などに移植します。8月中旬から下旬に稲刈りをし、刈った稲は区画ごとに稲架にかけて天日干しにし、その後、一組ごとに足踏み脱穀機などの農具を使って脱穀作業を行います。

また、昨年からは草取りしたデンジソウや、タニシ・ザリガニなどを田んぼジビエとして料理し、美味しく楽しい保全活動となるように取り組んでいます。これらを通して中池見湿地の生きものの豊かさと、その豊かさの維持に自分たちが貢献していることを実感していただけるようにしています。

更新日:2019.12.26  ※記事の内容は投稿当時のものです