まもろう ふれよう
流域コモンズによってよみがえる”さとのくらし” 〜都市住民と農山村住民の交流によって維持・再生される草原の恵み〜
森林塾青水(千葉県流山市)
地元住民や町役場と連携し、利根川上流における里山の自然価値を現代的に見直し、保全・再生と新たな利用管理の実現に取り組みます。「里山の原風景」を回復させ、そこに生息する生きものの保全につなげています。
「森林塾青水」は東京や千葉、埼玉などの利根川下流の都市住民が主体の市民団体です。「飲水思源」を合言葉に活動をしてきました。“水を飲めば源を思うべし。”現代人が忘れて久しい、生活を支える水とそれを育む森林、里山、大自然の恵みに感謝する心を大切にし、ふるさとの原風景と生物多様性を次世代につないでいくことを目標に活動を展開しています。
私たちの活動する群馬県みなかみ町藤原地区の上ノ原(元・茅場としての入会山)は地元住民の共有地として、草原の共同利用や管理が行われる場所でした。しかし、茅葺屋根や農耕牛馬などの需要が無くなり放置され、森林化が進行しました。
そこで、かつて地域資源として利用管理されてきた里山の自然価値を現代的に見直し、その保全・再生と新たな利用管理の実現を目指しています。利根川上流の水源域である上ノ原の草原および二次林を地元住民や町役場と連携し、「茅場の再生と活用」、「生物多様性の保全のためのモニタリング」、「古道の再生と活用」を実施してきました。
その成果として、ススキ草原とミズナラ二次林を中心とした「里山としての原風景」が回復し、そこに生息・生育する生きものの保全につながっています(例:春の野焼きの再開、草原性植物保全、クマタカなどの野生動物の確認)。
また、ススキを茅葺屋根の材料として活用するだけでなく、地域住民が意欲的に刈り取りに参加できるように茅の買い取りの際に、森林塾青水から補助金(環境支払)を出しています。
さらに、刈り取ったススキが重要文化財の修復や震災の仮設住宅の断熱材として利用されたり、住民の所得の向上につながることで、草の利用に関する暮らしに根付いた地域の伝統的な知恵・技術・文化が再認識され、それらの継承・活用に向けた機運が高まっています(例:刈り取った茅を利用した茅葺建造物の棟数の増加、地域住民と協働で「茅刈り検定」の実施、草原サミットの開催、など)。
更新日:2014.01.06 ※記事の内容は投稿当時のものです