まもろう
絶滅危惧種ミヤマアカネの保全
ふるさとの自然の会(長崎県佐世保市)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~furusato/
長崎県・佐世保市共に絶滅危惧ⅠA類のミヤマアカネの最大の生息地の水田が休耕となることになりました。1年休耕すると産み付けられた卵が死滅し絶滅してしまうので、2009年より当会で耕作し、保全活動を続けています。
佐世保市世知原町は長崎県内で唯一のミヤマアカネ生息地です。ミヤマアカネは長崎県・佐世保市共に絶滅危惧ⅠA類に選定されています。生態調査を行った結果、本種の幼生が生息するのは水田で水漏れの多い、昔からの棚田であることが分かりました。水田に8月頃産み付けられた卵は翌年の代掻きの際に孵化し、2ヶ月ほどで羽化します。減少の第一の原因は農家の高齢化などで人手が掛かる昔ながらの棚田を耕作しなくなった事です。
2005年にミヤマアカネの生息地一帯の水田が、水路の取り替えで1年間休耕となった際、水田に産み付けられた卵が全て死滅しました。水田それぞれでの個体数は多くなかったものの、安定した生息地が一気に消滅しました。そのような中で、水路の取り替えが無く、最も個体数の多かった棚田が県内最大の生息地として残されました。ところが、棚田の地主さんが亡くなり、休耕田になることがわかりました。休耕すると長崎県のミヤマアカネ個体群の絶滅に拍車がかかることから、当会が4haの水田を借地して耕作を続け、ミヤマアカネ個体群の維持と周辺の水田への分散を試みています。
2009年から4ha(2015年から3ha)の水田を耕作してミヤマアカネを保全するために、稲作方法・発生個体数・分散の調査を続けています。本水田で多くの発生があっても、他の水田に分散しなければ絶滅の危険を取り除くことが出来ないため、稲作はミヤマアカネの保全に特化してはならず、周辺農家が保全に取り組みやすい方法を見つける研究をしています。
また、保全を理解して頂いた農家の水田に受精卵を移植し分散を試みたり、2015年からは休耕田に水を入れて耕作はせず、水の管理などを行う保全の研究をしています。さらに、本活動の費用は収穫した米の売り上げを充てることにより、自立的な活動を目指すとともに、本種の保全の取り組みについて地域で講演会を開くなどして農家への啓発を行っています。
更新日:2016.12.21 ※記事の内容は投稿当時のものです