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まもろう 

「幻の花」アツモリソウを未来へ!~美ヶ原の景色を取り戻し未来へつなぐ~

長野県上伊那農業高等学校 バイテク班(長野県上伊那郡)

授業で学んだバイオテクノロジー技術を利用して10年前から絶滅危惧種のアツモリソウの増殖研究してきました。その技術を活かした生息域外保全、産官学の協働による美ヶ原のアツモリソウの保護活動がスタートしました。

アツモリソウとは、初夏に独特な形をした美しい花を咲かせる植物であり、「野生ランの王者」とよばれています。しかし、その美しさに加えて発芽率はわずか10万分の1、さらに苗が生育し開花するまでには10年という長い年月がかかることから大変希少な植物であり「幻の花」とも呼ばれています。また、園芸的価値が非常に高く、昔から多くの個体が乱獲や盗掘の被害に遭い、年々その数は減っていきました。

近年では、長野県の南アルプス森林の荒廃や鹿による食害も後を絶えず、長野県で確認されているアツモリソウは1000個体と少なく、美ヶ原に関しては9年前には61株開花していたものが昨年は3株に減少しまうなど大変深刻な状況になっています。それにもかかわらず、柵を設置することでしか守ることができていないのが現状です。長野県では2004年にアツモリソウを特別指定希少野生動植物に指定、2013年からアツモリソウの保護回復事業計画が始まりました。その際、2007年から行っていた本校バイテク班のアツモリソウの増殖研究が評価され、長野県からの依頼によりアツモリソウ保護に向け具体的に動き出しました。また、啓蒙活動や報道により私たちの保護活動が注目されるようになり、愛好家の方々からは技術支援、地元企業からは物資・資金援助など、地元の方々からたくさんの支援を受けることができました。

保護活動を行っていく中で、アツモリソウの培養苗を美ヶ原に戻すのには多大な時間がかかることがわかった。現在、増殖した苗を開花させ、採取した種子を自生地に播種する方法で戻すことになっていますが、この方法では早くとも7年はかかります。そこで、アツモリソウの遺伝子解析を行い、美ケ原のアツモリソウの種子から作出した苗が現地のアツモリソウと同一のものであるということを証明することで、培養苗の状態で美ケ原に戻す方法の根拠を示す糸口となると考え、遺伝子解析方法の確立に向け実験を行っています。

更新日:2017.12.27  ※記事の内容は投稿当時のものです