まもろう
貝殻を活用した里海保全活動 ~貝殻が海を救う!~
貝殻利用研究会(東京都千代田区)
貝殻を活用した環境改善技術の開発・普及による里海の保全及び環境学習やレクリエーションを通じての啓蒙活動に取り組んでいます。
本研究会は、貝殻利用技術の開発・提案と貝殻を利用した里海保全活動に取り組んでいます。貝殻の活用に目を向けた理由として、貝殻は有害な物質を含有しておらず無害であること、多孔質で複雑な形状である貝殻は海藻類や底生動物の着定基盤となること、カキ殻の堆積した場所には魚介類が多く生息するという漁業者の意見などが挙げられます。
これらに着目し、カキ殻などの貝殻を活用する試験研究を繰り返し行い、貝殻魚礁の開発・普及に至りました。また、貝類養殖業を営む漁業者らとの協力体制を構築し、貝殻魚礁の基となる貝殻基質の製作を漁業者が担っています。貝殻魚礁は、貝類養殖などで発生した廃棄貝殻を直径15cm、長さ1mの透水性に優れたメッシュパイプに詰め(貝殻基質)、鋼材などと組み合わせた構造物です。貝殻が創り出す多様な空間により、生態系ピラミッドの低次消費者である小型動物が増えることから生態系の底上げ、多様性の向上による水産資源の増産が期待でき、貝殻魚礁は、各県の公共事業などにおいて採用されています。
貝殻魚礁の効果については、事後調査において実証されています。貝殻を利用した里海保全活動を広く普及するため、小学生を対象とした環境学習の一環として貝殻の中に生息する小型生物などを観察する生物観察会の実施、一般市民へ里海の理解と周知を目的として食育関連のイベントでの展示、漁業者らを対象とした研修会の開催、各種学会や国際会議での報告などを実施しています。
更新日:2016.12.21 ※記事の内容は投稿当時のものです