まもろう
霧多布湿原のナショナルトラスト活動
認定NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト(北海道厚岸郡)
地域住民が主体の賛成運動によって支援者を増やしながら、民有地の買取による霧多布湿原の生物多様性の保護活動をしています。また、環境教育、エコツーリズム、産業振興といった普及活動などに取り組んでいます。
湿原は「やっかいで役に立たない場所」として埋め立てが行われてきた結果、6割の湿地が消滅したというデータがあります。湿地が無価値な存在として認識されてきたことに加え、霧多布湿原は個人や地方自治体の所有する土地があり、地域住民の生活や経済と密接な関わりがあります。このような価値観や地域特有の課題を解決するために、地域住民・専門家・会員など全国から支援や協力を集め活動を行っています。1986年より活動を始め、主に2つの事業を行い、相乗効果を生み出しています。
ナショナルトラストによる3つの生物多様性の保全
1. 生態系の多様性(民有地の買取り)
霧多布湿原の保全を行うため、現在までに約840haの民有地の買い取りを行っています。この中には特別天然記念物のタンチョウの繁殖地も含まれています。
2. 種の多様性(多様性を数字で「見える化」する事業)
自然調査を行い、調査結果を「霧多布湿原の生き物リスト」として2003年に発行しました。地域の小中高校や旅行者への普及活動に活用して、種数が確認されています。
3. 遺伝子の多様性(ボランティアによる植物標本作り)
釧路博物館の専門員協力を得ながら、遺伝子レベルの多様性を補完するための標本を、ボランティア参加型で作成しており、百数十種類が完成しています。
環境教育による自然のファンづくり
1.地域の子どもたちを週末に集めた活動や、町内の小学校〜高校を対象に、総合学習の時間を利用した自然体験プログラムを提供しています。2012年は74回、のべ847名が参加しました。
2.多様性溢れる湿原の生きものの魅力を伝えると共に、保護活動の重要性を伝え、参加費を湿原保全へと結びつけるエコツアーを開催しています。2012年参加者はのべ320名です。環境省第三回エコツーリズム大賞大賞を受賞しました。