まもろう
総合的な学習「産土タイム」
大船渡市立末崎中学校(岩手県大船渡市)
末崎中学校では、平成14年から自分達の地域を学ぶ学習活動を「産土タイム」として、1年生から2年生までにわかめの種苗から収穫・販売までを、3年生では植林や間伐など森林整備等の体験学習を行っています。
岩手県大船渡市立末崎中学校では、2002年より、総合的な学習として「産土(うぶすな)タイム」に取り組んできました。15年目を迎え、末崎中学校教育活動の大きな柱の一つとなっています。「産土」とは、その土地に生まれたことを意味します。末崎町は「三陸養殖わかめ」発祥の地として知られてきました。地域の先人が培ってきた地域の特色に価値を見いだし、自らの生き方を模索していくことを目的として取り組んでいます。
指導を行うのは、地元のわかめ養殖漁家等です。1年生のときには海上での種蒔き、早採り、本刈りの作業の後、収穫したわかめのボイル及び塩蔵処理までを行います。2年生では、数名のグループに分かれて漁家を訪問し、わかめの芯抜き作業の指導を受けます。その後に校内で芯抜きとパック詰めをし「末崎中ふれあいわかめ」として製品化、接客について企業より講師を招き学習した後に、盛岡市内で生徒自らが販売体験を行います。生徒たちは、3年間でわかめの養殖を中心に系統的に体験し、学びます。
3年生では「海を守る」をテーマに、恵みをもたらす海を守る活動として森林整備の学習を行います。2003年には、三陸中部森林管理署と森林環境教育の推進を目的とした協定を締結しました。管理署職員から森林機能を学び、国有林のフィールドを活用して植樹、下草刈り、間伐等の森林整備活動を行っています。これらの活動から、生徒は、森林の重要性とふるさとの自然環境が森林から海まで一体であることを実感します。
2011年3月、東日本大震災の津波により、わかめ養殖場や海上学習フィールドは壊滅的な被害を受けましたが、南浜わかめ養殖組合をはじめ、漁協、地元の方々の尽力により、11月には学習を再開し今日まで続けてきました。今年度、わかめの養殖技術を確立させた小松藤蔵氏を題材とした演劇に取り組みます。技術確立までの努力や過去の震災後に地域を復興させた姿から、東日本大震災を経験した生徒達に地域復興の担い手としての意識付けを図りたいと考えています。
更新日:2016.11.18 ※記事の内容は投稿当時のものです