まもろう
ならやま里山林景観整備ボランティア
奈良・人と自然の会(奈良県奈良市)
私たちは「大和の自然を愛します」を掲げ、「自然との共生」「地域社会への貢献」「生き生き活動」、という3つの理念の下で調査・実践を重んじ、生物多様性のある里山整備に取り組み、地域社会と共に保全を進めています。
奈良県が古都保存法により収用した里山は、半世紀放置され、荒廃しきっていました。一帯を健康な里山に戻すボランティア団体募集に応募し、景観整備事業を2007年にスタートさせました。凍結的保存を重視する当局と議論を重ね、「劣化している生物多様性を回復・進化させる整備を」と合意。その後、奈良県の全面的な支援の下に各種調査を行い、景観整備を進め、生物多様性に配慮した「保全的自然保護」活動を推進してきました。
活動当初現地は、放棄ゴミ、暗く物騒な自転車道、藪化した竹林、劣化の里山林、笹が茂る田畑と悲惨でしたが、整備活動と共に草本、樹木、昆虫、野鳥を調査し作業に反映しました。特に樹木調査は里山林5ha余を30分割し、毎木調査を実施。番号を付け、群落特性を纏め台帳を作成し、2010年に生物調査の報告書「ならやまの四季」を作成しました。簡易散策案内書も3000部作成しました。
活動開始の翌年2008年は、湿地に水田を復活させました。地元小学校の稲作学習に活用し、西池は水生生物調査を開始。その後、奈良県から受託地の拡大要請を受け、当初7.33haでしたが、現在20haまで拡大しています。無農薬有機栽培の田畑も軌道に乗り、全体として「保全的自然保護」から「自然再生・創出」へと進んでいます。
2010年、京都から南進してきた「カシノナガキクイムシ」による「ナラ枯れ」伝播に対し、防除・拡散防止策を実施しました。森林総合研究所関西支所、奈良県森林技術センター、県農林部などの指導を受け、協議し、飛来穿孔虫を定着させない防除、拡散させない薬品処置や焼却を主体に実施しました。しかし、容易に収束はせず、2016年現在も、試行錯誤中です。また、取り戻した「遺伝子汚染」の心配のない環境は、ニッポンバラタナゴの育種池として、近畿大学農学部環境管理学科保全生態学研究室の要請を受け、2011年から保全育種に取り組み軌道に乗っています。
更新日:2016.12.21 ※記事の内容は投稿当時のものです