まもろう
鈴鹿山脈フクロウ保護プロジェクト
三重県立四日市西高等学校自然研究会(三重県四日市市)
鈴鹿山脈山麓におけるフクロウの保護活動を、保護、研究、教育の3つの活動を柱として実践しています。フクロウをシンボルとした、高校生による次世代に豊かな自然を継承するための活動です。
2015年春、雨上がりの夕刻、三重県四日市市西部丘陵地帯でフクロウ(学名:Strix uralensis)の鳴き声を聞きました。古くは公害の町として多くの人に知られた四日市市に、森林生態系の頂点に立つフクロウが生息することに驚きました。そこで、残された自然に生息しているフクロウを守る取り組みを開始しました。同年秋、近隣に7つの巣箱を設置したところ、ひとつがいのフクロウが繁殖に成功し、翌年の3月、2羽の雛が巣立ちました。四日市市にある本校周辺で巣箱掛けによるフクロウの子育て支援が可能であることがわかりました。
現在、私たちのフクロウの保護活動は、保護、研究、教育の3つの活動を柱としています。保護活動を活発化させるために、四日市市で始めた巣箱掛けを鈴鹿山脈全域に広げることを目指し、地域の森林組合の協力を取り付けながら巣箱数と設置場所を拡大中。試行錯誤を繰り返しながら自分達で巣箱を設計製作し、地権者の許可を得ながらフクロウの生息場所を探し、フクロウの狩場や水場を予想して設置します。
フクロウの営巣を確認したら、フクロウの生態を調査研究します。他の機関に研究を委託するのではなく、何事も自分達の手で行うことを大切にしています。繁殖を妨害しないようブラインドを張って遠方から観察し、赤外線自動カメラを設置して24時間記録を取ります。休日にはテントで寝泊まりして観察します。繁殖後の巣箱に残されたペリットの内容物を分析し、給餌食物を調べ、餌動物を含めた生態系の保全を目指します。
調査研究で明らかにしたフクロウの生態は地域で発信し、多くの人にフクロウの魅力を知ってもらいます。関心をもってもらうことで、フクロウの保護と自然保護への意識向上をねらっているのです。そのために、研究発表会での発表や、環境フェアへの出展、体験型講演会の開催、地域の人との巣箱づくり、地域の学童保育所などでの啓発活動などに積極的に取り組んでいます。
更新日:2017.12.27 ※記事の内容は投稿当時のものです