まもろう
絶滅から救え!コアジサシ
NPO法人リトルターン・プロジェクト(東京都大田区)
自然環境下での営巣場所が少なくなって絶滅の危機にあるコアジサシを、下水処理施設の屋上を都下水道局及び大田区と協力して、コアジサシの営巣地として整備し、コアジサシの保護活動を行っています。
コアジサシは冬をオーストラリア周辺等の南の地域で過ごし、4月に日本にやって来て5月~8月に繁殖を行う全長28cmほどの渡り鳥です。近年では自然の河川敷や砂浜の繁殖地が減少し、造成地にできた裸地や建物の屋上等を利用して営巣することが多くなって来ています。繁殖地では、卵や雛が捕食されたり、造成工事やレジャー等による人為的攪乱を受けるケースが多く、繁殖成功率は高くないと考えられ、環境省の絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
2001年6月、東京都下水道局森ヶ崎水再生センターの施設屋上では、本来の繁殖場所を失ったコアジサシが営巣を始めていました。ところが巣立ったヒナはわずかに5羽。強風で卵が飛ばされるなど、コンクリートの屋上は過酷な環境でした。偶然それを発見した私たちは、東京都下水道局森ケ崎水再生センターと大田区と協同でコアジサシの人口営巣地を整備しました。整備作業には都下水道局の皆さん、区職員の皆さん、ボランティアの皆さんにご協力いただきました。
その結果2002年には1,200巣余の営巣があり600羽余のヒナが無事に生まれました。以来毎年ボランティアを募集して営巣地の整備作業を行っています。また、コアジサシの繁殖状況調査を行い、森ケ崎屋上営巣地でコアジサシの巣立ちを見守ってきました。カラスや野良猫の襲撃を受けたり大雨で巣が水びたしになったり、草がたくさん生えて裸地環境を好むコアジサシの営巣地として不適切になって営巣数が減少したりと問題が発生して、ヒナが巣立たなかった年もありました。しかし問題が発生する度にそれらを改善するようにボランティアと協力して屋上営巣地をコアジサシの繁殖適地となるように整備作業を行い対処してきました。飛来数に変動はありますが、毎年コアジサシはやって来て子育てを行っています。その結果、2015年までに累計7,000羽(推定)のコアジサシが巣立っていきました。
更新日:2015.12.01 ※記事の内容は投稿当時のものです