まもろう
生物多様性の保全を基本とした次世代へ続く里山のトレイルづくり
特定非営利活動法人信越トレイルクラブ(長野県飯山市)
歴史ある古道の復元とトレイルの整備を通して地域資源を再認識し、自然の保全と持続的利用を図り、ハイカーとの交流を通じて地域の活性化に寄与します。また、人間と自然とが共存する新たな里山のあり方を考えます。
長野と新潟の県境に連なる標高1,000m程度の関田山脈。かつては様々な恵みを与えてくれる山として住民にとっては欠かせない存在であり、人間と自然が共存した豊な森林環境を有する里山でした。ところが時代の変化とともに、地元住民が山へ入る機会はほとんど無くなり、里山がもたらす機能に対する認識は薄れ、山は荒廃しつつあります。また、かつては信濃と越後を結ぶ交通の要衝として、16もの峠道を有したこの山脈は、地域の交流を通して様々な歴史や文化が育まれ、この地域特有の生活が営まれていました。しかし、経済や交通の発展により峠道の使用がなくなり、その存在自体も忘れ去られようとしていました。
里山に全長80kmに及ぶトレッキングルートを整備することが人々を再び山へ誘うきっかけとなり、失われつつある地域の財産に再び地域住民が目を向け、埋もれつつある資源が次世代に引き継ぐきっかけにもなるものと考えました。
自然環境に配慮したトレッキングルートの整備・維持・管理は当クラブが中心となりボランティアを募り実施。全線開通までには延べ2000人以上に及ぶ多くのボランティアが整備に参加しました。現在も関東を中心に多くの方がボランティアとして整備に参加していまする。全線80キロを20区分に分け、周辺自治体及び関係団体が整備区間を担当し、ボランティアと共に現在も持続的な整備を実施しています。また次世代へ続くトレイルづくりを目指した活動に賛同する企業などが、環境教育研修として整備に参加中です。
トレイルの利用に伴う自然環境への負荷も十分考慮し、「トレイルの利用と保全に関する検討委員会」を設け、地域資源の保全に向けたガイドラインやルールも策定し、積極的に利用者に向けて発信しています。これまでの山頂を目指す登山スタイルとは違い、地域の資源や人に触れ、自然を愛でながらのんびり歩くトレッキングスタイルを提案しています。
更新日:2015.12.01 ※記事の内容は投稿当時のものです