まもろう
須原 魚のゆりかご水田プロジェクト
せせらぎの郷(滋賀県野洲市)
私たちは、滋賀県の郷土料理・鮒ずしの原料となるニゴロブナをはじめ、生きもので賑わっていたかつての琵琶湖を取り戻すため、魚道づくりを通じて生きものの産卵・生育できる水田環境を取り戻す活動を行っています。
かつて琵琶湖周辺の田んぼは、排水路を通じて琵琶湖から魚がやってきて、産卵・繁殖し、すくすくと育って琵琶湖に帰っていく、ゆりかごのような場所でした。しかし、時代の流れと共に、工業・生活排水等により琵琶湖の環境が変わり、農業も効率化を図るためにほ場整備事業が行われ、水路と田んぼの段差が大きくなり、田んぼに魚が入れなくなり、琵琶湖の魚の数は激減してしまいました。もう一度、魚を田んぼに呼び戻そう!という思いで、魚が田んぼに上がりやすい魚道が研究され、排水路や田んぼの入り口に魚道を設置し、水田ひいては琵琶湖が生きもので豊かに賑わう環境づくりを目指す取り組みが、魚のゆりかご水田プロジェクトです。こうして、生きものに配慮した水田からとれたお米は、滋賀県から「魚のゆりかご水田米」の認証を取得しており、売上の一部は更なる活動の発展のために役立てられています。
田植え体験を毎年5月に実施しています。田んぼのオーナー含む参加者とともに、苗を手作業で植えていきます。昔ながらの足漕ぎの水車を使って田んぼに水を引き入れる農業伝統文化体験も行います(本年度 120人参加)。生きもの観察会は毎年6月に実施。魚道ですくすくと育った様々な生育状況の稚魚たちを網とバケツを使って、参加者自らに発見・観察してもらい、環境と生きものの大切さを多くの方に伝えます(本年度 200人参加)。稲刈り体験は毎年9月に実施されます。手刈りで稲を刈り、刈った稲をはさがけにして干す体験を行います(本年度 100人参加)。
平成26年度からは体験だけでなく、食育や琵琶湖の環境などについても知ってもらうため、「生命のゆりかご講座」を開催し、琵琶湖博物館の学芸員の方や農村振興課の行政職員の方に講演を依頼したり、浄水場見学なども取り入れたりして、「学びと体験の場」を創出しています。
更新日:2015.12.01 ※記事の内容は投稿当時のものです