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絶滅危惧種ヒヌマイトトンボのミチゲーションに関する官民学のジョイントプロジェクト

自然史教育談話会

三重県の宮川浄化センター建設予定地で発見された絶滅危惧種ヒヌマイトトンボを保全するため、県と環境コンサルタント会社の調査に協力し、保全策を提言すると共に、公開観察会を県環境部局などと共に企画・実施しています。

1998年、三重県の宮川浄化センター建設予定地で、ヒヌマイトトンボ(絶滅危惧Ⅰ類)が発見され、開発事業の影響を少なくするミチゲーションによる本種の保全活動が開始されました。当時、本種の生態は解明されておらず、プロジェクトの基礎資料を得るため、生態(個体数や生活史など)と生息環境(ヨシ群落)の両面から研究する必要がありました。本会は1999年以降より毎年、三重県と環境コンサルタント会社と協働で調査をしながら、保全策の提言やモニタリング結果の検討などを行なってきました。

発見されたヒヌマイトトンボの生息地は、汽水に成立した小さなヨシ群落でした。浄化センター建設後は生息環境の悪化が予測されたため、このヨシ群落を保護すると共に、隣接して約4倍の広さのヨシ群落を創出することにしました(2003年1月)。これを最適な生息地とするために、群落に流す汽水の塩分調節やヨシの密植方法、群落内の微地形の確保などが、本会の渡辺代表らによる数多くの研究活動の結果を基礎として行なわれました。

また、本会と行政、環境コンサルタントの計30人以上で、特定の個体の行動を日の出から日没まで連続的に観察し、本種の行動圏の狭さや、成虫が活動するヨシの根元付近の光環境が閉鎖的であること、ヨシ群落の中に留まる傾向の強いことなども解明しました。移植したヨシは順調に生長し、3年後には野生のヨシと生長量に有意差がなくなり、生息環境は安定してきました。発見当時の推定総個体数は約4000頭でしたが、その後、年々増加し、7万頭を数えた年もあります。したがって、ミチゲーションは成功を収めているといえるでしょう。

ミチゲーション開始後、本会は県環境学習情報センターとともに観察会を企画・実施しています。参加者は県内在住者だけでなく、近隣各県にまで及んでいます。現在では、浄化センターと県土木部に加え、県みどり共生推進課、県総合博物館、伊勢市教育委員会の協力を得て、三重県が一丸となる体制を構築しました。