まもろう
在来馬の伝統耕作復活プロジェクト
特定非営利活動法人都留環境フォーラム(山梨県都留市)
http://tef-horse-plowing.jimdo.com/
在来馬による日本の伝統耕作「馬耕」を50年ぶりに田んぼで実践し、雑草の餌と馬糞により循環型の生態系サイクルを作り出します。日本各地に残る農業文化の復活により、里山の生物多様性を守っています。
在来馬と共に田んぼの土を耕す「馬耕」、その技術を復活させ、お米を作ってきました。化石燃料に頼らない馬耕の耕作技術は、有事の際の自立的な農業生産のサブシステムとしての意味をもっています。この自立的な技術は、災害時にも早期に復興できる力をもちます。また、在来馬は雑草や作物残渣などの粗飼料を飼料とすることができ、馬糞は堆肥化して田畑へ戻します。この循環的なサイクルは、里山の生態系を取り戻していくことに役立ちます。
今から50年ほど前より、化石燃料で動く耕運機が普及するにつれ、馬耕は姿を消しました。その前は1500年も続いた長い歴史を持つ農文化として継承されていたものです。70歳以上の高齢者が記憶に残している技術は、すぐにでも継承しなければ取り戻せなくなります。この持続可能な農業文化を継承し、実用的なレベルで保存していくことを目標として活動しています。
私たちの馬耕の技術は、馬一頭に二人でまっすぐ耕すところまで上達しました。始めた当初は、タイヤや丸太を馬に引かせる練習をしました。犂(すき)という馬耕道具を使って土を掘るのも、今ほど簡単にはできませんでした。馬には土を掘る作業を少しずつ慣らしていきます。犂のバランスをとって、まっすぐ掘っていきます。現在は、さらなる効率化を目指して、一人での馬耕を練習しています。馬をまっすぐ歩かせつつ、同時に犂を持って一人で土を掘る作業です。
また、馬耕を通して小規模な循環型の農業を普及する活動をしています。広く多くの人に体験してもらうイベント「はたらく馬フェス」、日本全国を馬耕して耕してくる「馬耕キャラバン」、体験するだけではなく、その技術や文化を伝えていくことで、馬を飼う農家を増やしたいと考えています。小規模ながら多くの人が馬との循環型農業に取り組むことで、各地の生態系を取り戻し、生物多様性を守ることができます。
更新日:2016.11.18 ※記事の内容は投稿当時のものです