ふれよう
シマフクロウ学習
NPO法人シマフクロウ・エイド(北海道浜中町)
絶滅危惧種シマフクロウの生息に関係する地域の学校向けに、身近な生きもののつながりや、シマフクロウ保護が地域の暮らしや基幹産業にもたらす価値や効果について体験を通じて実感してもらうプログラムです。
シマフクロウ・エイドでは、管内で最も第一次産業が盛んな浜中町において、次世代を担う地域の子どもたちに、シマフクロウをテーマとした環境教育「シマフクロウ学習」を2013年から屋内外で実施しています。地域の酪農業や漁業など基幹産業の源となる環境の持続的保全を視野に入れ、地域で支える包括的なシマフクロウ保護を構築することを目指しています。
屋内では、シマフクロウの生息に関係のある生きものについて体を動かしながら知るゲームから始まり、羽や痕跡などの実物を使ったクイズを交えたスライド「シマフクロウってどんな鳥?」でシマフクロウの生態や直面している課題などについて知る、参加型の学習時間としています。
屋外では、子どもたちがシマフクロウの生息環境に近い河畔林を訪れ、シマフクロウと関わりの深い魚や貝、落ち葉、水生昆虫などの水辺の生きものの観察・同定を実際に行い、シマフクロウをシンボルに食物連鎖としての生きもの同士の関係を推理しています。これらの一連の活動を通じて生物多様性の大切さを伝えています。また、訪れた川の上中流部を拠点に、川を通じて「森の結果が海へ注がれ、海の結果がまた森に還ってくる」「この森の上流部にある酪農地帯の結果も森の結果に影響している」「森を守ることは私たちの暮らしを守ること、シマフクロウや色々な生きものを守ること」を現場で実感する時間も設けています。この時間では、川から海までの生きものの循環をイメージするために、先に河畔林で観察した「生きものの行方について」絵地図を用いて解説しています。
最後は室内にて、ワークシートを用いて「シマフクロウが暮らしやすい環境」についてシマフクロウの気持ちになって考え、自分たちが暮らす環境を守るためにできることをヒントに「シマフクロウを守るために私たちができること」を個々に記入しながら屋内外の体験をふりかえる時間としています。「身近な生きものと自分のつながり」に気づき、シマフクロウの保護が地域にもたらす価値や効果を実感することで、生物多様性を自分ごとにしたり、地域の環境保全への理解を養っています。
更新日:2017.12.27 ※記事の内容は投稿当時のものです