ふれよう
『ふゆみずたんぼ』の『生物文化多様性(Bio-cultural Diversity)』を体感する田んぼプロジェクト
特定非営利活動法人田んぼ(宮城県大崎市)
『地域の未来は地域のこどもたちが創る』という考えを基に、こどもたちの自主性と協調性を尊重しながら、『ふゆみずたんぼ』を使った体験学習を展開します。こどもたちが生物文化多様性(Bio-cultural Diversity)によって稲が健全に育つことを学ぶ場を提供します。
NPO法人田んぼは、大崎市立大貫小学校5年生と環境に配慮した農業体験学習並びに農村の生物文化多様性(Bio-cultural Diversity)を体感する活動を行ってきました。この活動は総合学習の時間に実験田(『ふゆみずたんぼ』無施肥・無農薬)で行い、学校の環境教育の主軸となっています。
種まきから始まり、人間代掻き(泥遊び)や、田植え、農薬を使わない方法としての竹ぼうき除草、稲刈り、脱穀、唐箕による選別を行い、その都度、生きもの調査を行います。最後は、自分たちの作ったお米を味わう収穫祭まで、1年間を通しての学習を『Tambo Project: 田んぼプロジェクト』と名付け、実施してきました。この学習は8年間続いています。生物多様性豊かな、ふゆみずたんぼを使って、1年を通して自然農法の過程を、こどもたちにとって自然な方法で学んでいます。
当法人も、その作成に強く関わった『「田んぼの生きもの全種リスト2010』によって、田んぼには5668種の生きものが生息していることがわかりました。田んぼの生きもの調査を通して、田んぼの土は、イトミミズやユスリカなどの小さな生物も関わってできたものであることも学ぶことができます。また、多くの里地・里山の生きものが田んぼに依存していることも学びます。また、田んぼの畦には背丈の低い高山植物のような小さくて可憐な草花が花を咲かせて、そのほとんどが食べることができます。田んぼと農村の文化が深く関わっていることも学びます。
人間は幼いうちに、五感を使った活動を十分に行うことが大切だと言われています。人間代掻きなどの泥んこ体験を行うことで、田んぼの独特なベタベタという触感を、自由に安全に体感できます。足踏み脱穀機や唐箕などの昔ながらの機械や手作業では、農業文化が育くまれてきたことを学びます。この学習は、生きものと田んぼといった自然環境のつながりや、人との文化的つながりの大切さを伝え、こどもたちが生物文化多様性(Bio-cultural Diversity)の重要性を学び、自主性と協調性を尊重しながら環境学習を行うことを目的としています。
更新日:2016.11.18 ※記事の内容は投稿当時のものです