えらぼう まもろう
日本の森と里山を守り、人と生物を育む紙「里山物語」
中越パルプ工業株式会社(東京都)
http://www.chuetsu-pulp.co.jp/
間伐材をクレジット方式で最大限活用した印刷用紙「里山物語」は、紙代金に含む寄付金で、里山で活動する団体を支援します。紙を選ぶだけで、誰でも生物多様性保全に貢献できる仕組みをつくり、推進しています。
「里山物語」は(1)日本の森を守る、(2)里山と生物多様性を守る、という二つの大きな仕組みを作りだした用紙です。
国内森林面積の約4割を占める人工林は、植林、間伐、主伐などの作業を繰り返すことにより、生きものが豊かで、良質な木材を生む林になります。
取り組みを始めた当時は、主にコストの問題から、間伐されることなく放置された林や、間伐した木が放置されている林が増えていました。そこで中越パルプ工業では、「森を守るためには間伐材をたくさん使うことが大切」と考え、証明書付きの間伐材を最大限活用した仕組みの紙を生み出しました。
また、生物多様性の宝庫として世界的な注目を集めている日本の「里山」は、かつては食料をはじめ、薪や炭などのエネルギーが生み出せる経済価値の高い環境でした。人の手によって田畑や雑木林、ため池などの多様な環境がつくられ、保たれてきたことによって、偶然にも多種の生きものが暮らせる生態系が形成されました。
しかし、農業の形態が大きく変わり、エネルギーの転換が進んだ現在では、各地で里山の消滅や荒廃が進んでいます。こうした里山の喪失を危惧し「里山物語」の代金の一部に寄付金を付加することにより、里山を有効活用している団体の活動を支援する仕組みをつくりました。
寄付金は協業するNPO法人里山保全再生ネットワークが、かつてのような経済価値を失った里山を守るためには、新たな価値を発掘したり、新たな用途で持続的に里山を活用する団体を支援しようと、選定基準を定めて運用しています。
2009年の販売開始から現在までで、4件の支援先ができました。
いずれも一過性の里山保全ではなく、実際に里山を活用しながら、自ら社会的意義のある活動を積極的に行う素晴らしい団体です。
「里山物語」のユーザーは、紙を選ぶだけで、日本の森を守る活動里山と生物多様性を守る活動を支援したことになります。
更新日:2014.11.19 ※記事の内容は投稿当時のものです