つたえよう
Twitterを用いた、生物多様性普及活動 ~この生き物の名前はなに?~
小粥隆弘(長野県上田市)
Twitterでつぶやかれた生きものの質問を検索し、回答する活動です。質問者に生物の種名等を知ってもらうことで、自然への興味・愛着を抱いていただくことを目的としています。
近年、生物多様性保全の重要性が謳われています。私は、具体的に身近な生物を知り、自然への興味や愛着を持つことが、生物多様性の重要性を理解するための第一歩だと考えています。私は筑波大学大学院の学生で、生態学を研究しています。幼少の頃から父の影響で、野鳥観察や昆虫採集を嗜み、生物の知識を蓄えてきました。この知識を活かせる場として、自然観察会の講師等を行っていますが、伝えることができる人数には限りがあります。
そこで目を付けたのが、ソーシャルネットワーク ”Twitter” です。Twitterは国内で約2,000万人もの人が利用している巨大なネットワークです。試験的に、生物の種名を尋ねている書き込み(つぶやき)を検索してみると、膨大な数がヒットしました。また質問のほとんどは、回答を獲ることなく、放置されていました。例えば、一般の方が種名の分らない生物を目の前にしたとき、どのように同定すればよいでしょうか?図鑑は、大きな図書館や大学などの研究施設などに行かなければ参照できません。また、基礎知識が無ければ、図鑑で調べるにも一頁目からサンプルと写真の絵あわせをしなければなりません。一般の方が一から生きものの種名を調べることは、とても難しいことです。
2013年4月、私は生きもの(主に昆虫、鳥類)の名前を回答する専用のアカウント“@OKAYU284”を開設し、生きものの種名を問う“つぶやき”に対して、回答する活動を開始しました。質問者の方からすれば、見ず知らずのアカウントからリプライがくるわけですから、当初は訝しがられるのでは?という不安がありました。しかし、ほとんどの方が「ありがとう」「種名がわかって、昆虫への親しみが湧いた」などポジティブなコメントを返してくれます。
個人の小さな活動ではありますが、今後も継続することで、少しでも多くの方に生物への関心を抱いてもらえたらと願います。
更新日:2015.12.01 ※記事の内容は投稿当時のものです