たべよう えらぼう
日和キッチン
日和キッチン(宮城県石巻市)
コンセプトは、よそ者目線で “新たな石巻の食文化” を開拓すること。石巻の食とレシピを研究・発掘・開発し、それらを観光資源化するための拠点として「日和キッチン」というレストランを運営しています。
石巻の食といえば海の幸や水産加工品が広く知られていますが、その反面、まだまだ認知されていない魅力的な食材や料理も多く眠っています。その代表的な食材として「牡鹿半島の鹿肉」が挙げられます。
鹿肉は牡鹿半島で増えすぎてしまった野生鹿を地元猟友会の方々が仕留めたものです。狩猟数が増え仲間内では消費しきれなくなり、メンバーの一人が食肉として販売する会社を立ち上げました。販売当初こそ「新たな地域食材」として注目されましたが、地元での消費が広がらず、特に震災後の石巻市内では「牡鹿半島の鹿肉」を提供している飲食店が1店舗も無い状況でした。
鹿肉は他の肉と比べても栄養価が高くミネラル豊富でヘルシーな食材です。特に牡鹿半島の鹿肉は処理技術の確かさから臭みもほとんどなく、石巻の特産品になり得る大きなポテンシャルを秘めています。事実、日和キッチンで提供を始めてからは格段に流通量が増えていて、地域資源として認知度を高めていく為には、実食できる飲食店がまずは地元にこそあるべきだと強く実感しています。
鹿などの農作物への獣害は石巻に限らず多くの里山で社会問題となっていますが、食肉としては現代の日本人には馴染みが薄く、消費や流通が進まない状況にあります。狩猟の需要が高まる一方で、猟友会の高齢化・後継者不足という問題を抱えており、それらの矛盾を解決するためにも食肉としての流通を促し、事業・産業として成り立たせる必要があります。
震災後、石巻を訪れる中でこれらの気づきを得て、石巻の食文化やレシピを研究・発掘・開発し観光資源化するための拠点として、街に埋もれていた築100年の古民家をリノベーションし、2013年4月に「石巻のおウチごはんとジビエ料理のレストラン/日和キッチン」をオープンしました。ここで見直され・生み出された新たな石巻の食文化が、街の魅力となり、産業の活力になり、地域の遺産・文化となり、より多くの人を石巻に巻きこむ動力となる事を目指しています。
更新日:2014.10.10 ※記事の内容は投稿当時のものです