ふれよう
みんなで頑張る。棚田の生物多様性の普及啓発活動
特定非営利活動法人大山千枚田保存会(千葉県鴨川市)
千葉県鴨川市の棚田地帯「大山千枚田」を拠点に、棚田保全活動に参加する都市住民と地元農家が協働して地域の里山の生きもの調査を続けています。その結果を基にした普及啓発のための媒体作りや自然観察会も実施しています。
千葉県南房総には、市内の広範囲にわたり全国的に希少となった照葉樹林帯が広がっています。その斜面を利用して作られた棚田が広がるこの地域は、美しい景観として注目を浴びています。その中で鴨川市の大山地区には「大山千枚田」と呼ばれる天水のみで耕作を行っている3.2haの棚田が存在します。平成9年より、中山間地域の活性化を目的に「大山千枚田保存会」を結成し、平成12年より「都市農村交流による地域の活性化」と「農地の保全」を目的に棚田オーナー制度を展開し、136組の都市住民と地元農家が協働で、自然体験活動を通じて様々な活動を行っています。
当地にはトウキョウサンショウウオやニホンアカガエルといった両生類、野生のラン類、地域固有種の昆虫など、希少かつ貴重な生物が多く生息しています。大山千枚田保存会では結成当初より、農業体験だけでなく、自然観察会を通じて農業と農村生態系の結び付きを伝える活動を行っています。
活動を進める中で、より生態系に配慮した棚田の保全活動を行うために、都市住民、地元農家、専門家が協働でこのような活動を進めています。
①地域の里山環境に生息する生物の調査活動と生物相のリスト化
②それらをまとめた地域の生き物図鑑の作成
③農業体験、自然観察会の指導者を併せて行える、農家インタープリターの育成
調査の段階から地元農家や都市住民が参加することで、地域の生態系の豊かさを知り、自分たちの関わる農作業が地域の生物多様性に深く関係することを理解してもらえました。
また、当地では年間を通じて3000人ほどの学校体験を受け入れています。その中で、農村生態系が作り出す自然と人の暮らしの結び付きや魅力を伝える活動を展開しています。現在は鴨川市内だけでなく、南房総地域全域において、自然体験活動を行う団体と連携し、地域の生きもの調査を行い、南房総一体となった里山環境の生物相の豊かさの保全と普及啓発活動を行っています。
更新日:2014.10.23 ※記事の内容は投稿当時のものです