つたえよう
魚部 ~人物多様性をもとに、生物多様性を伝える活動
北九州・魚部(福岡県北九州市)
自然や生物、自然と人の関わりに関心をもつプロとアマ約320名が、全国31都道府県から集う人物多様性に富んだネットワークです。10万人規模の博物館企画展参加への雑誌『ぎょぶる』を刊行するなど、独自の視点と知見で生物多様性を伝えています。
高校の部活動として設立された「魚部」の15年間の活動を継承し、2014年末に結成した任意団体です。自然や生物に関心のある「全国だれでも参加できるネットワーク」です。研究者や写真家、農・漁業など、多分野の専門家(プロ)と愛好家(アマ)約320名が、全国31都道府県より参加しています。年齢は小学生から80代、男女比も同程度と、人物の多様性がすこぶる高いのがメンバーの特徴です。
この多様性を活かして多様な取組を展開し、私たちの世界にいる生物の多様さと、多様性の大切さを伝えています。例えば展示活動では、2017年春に北九州市立いのちのたび博物館で「大どじょう展」を開催、同年夏の滋賀県立琵琶湖博物館では「大どじょう展」第2弾の展示協力をしました。魚部メンバーであるどじょう博士の、33種類ものどじょうが日本に生息している、という最新研究成果をはじめ、全国各地で魚部が行った調査・取材がもとになりました。科学的知見に加え、人とどじょうがかかわる文化も示し、総合的な構成にしました。
さらに2017年夏にはいのちのたび博物館の特別展内でコラボ展示「ヒメドロムシ・ゲンゴロウ展」を開催。「清流の妖精」と呼ばれる微小な水生甲虫ヒメドロムシと止水の湿地帯に生息するゲンゴロウ類の存在を通じて、身近な水環境の多様性を伝えました。
おまかせエッセイと巻頭特集が柱の雑誌『ぎょぶる』も制作・発行。雑誌全体も各記事も「世間へのメッセージ」となるよう心がけています。エッセイは、各専門家に、関わる自然をそれぞれの視点で執筆いただいています。専門家との歓談はワクワクし、語られる自然にとても興味が湧きます。彼らのエッセイを通じて、日本の自然や生物へのまなざしを豊かにしたいです。巻頭特集は、編集部がひとつの地域を「魚部的視点」と題して調査・取材。3号の特集は口永良部島です。噴火や避難生活のニュースが飛び交う中、帰島実現に合わせ、島の成り立ちや生息生物、自然の魅力を記事にしたほか、在住の魚部メンバーを通じて島の関係者の執筆参加も得られました。4号では宮古島湧水と池間島、5号では種子島を特集しました。
※2017年末現在 ネットワーク参加人数350名(32都道府県)