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赤城山サクラソウの保護活動

絶滅危惧種であるサクラソウの自生地を守ろうと、バイオテクノロジーを学ぶ高校生が知識や技術を活かし、関係機関と連携しながら保護活動に取り組んでいます。行政や企業を動かした18年間に及ぶ長期的な活動です。

サクラソウとは、日本原産の草本性植物です。春先に薄紅色の可憐な花を咲かせる山野草で、かつては日本全国に広く分布し、江戸時代には多種多様な園芸品種が育成されました。しかし、野生種に関しては年々個体数が減少し「準絶滅危惧種」に指定されています。

群馬県赤城山にある自生地も生育環境の変化や盗掘の被害により、サクラソウは一度は絶滅しました。しかし、平成13年に群馬県自然保護連盟によって再発見され、「バイオテクノロジーを活用してサクラソウの保護活動に協力してほしい」との依頼を受けました。

そこで私たち植物バイオ研究部は、自生地での環境整備・調査活動に取り組むとともに、日頃学習しているバイテクに関する知識・技術を活用したサクラソウの保護活動を推進しています。

①自生地の環境整備活動
サクラソウは里山の環境(山地で木漏れ日が地表に届いている場所)を生息地として好みます。赤城山の自生地付近の森林も整備がされずミヤコザサが生い茂り、光が地表に届かずサクラソウが生育しづらい環境となっています。そのため、秋に下草刈りをすることで春先にサクラソウが芽吹きやすい環境づくりに取り組んでいます。

②自生地の調査活動
毎年春に個体数、開花数、群落数の調査に取り組んでいます。赤城山のサクラソウは主として栄養繁殖で増殖するため、種子繁殖の可能性を探るため花形の調査をすることで遺伝的な多様性の把握にも努めています。

③盗掘を防ぐ活動
野生種減少の原因として、希少性の高さからの人による盗掘があります。悪質なものではバックホウで根こそぎ盗掘する痕跡も確認されています。そこで生徒が学校で学習している組織培養技術を活用してサクラソウ苗を大量に市場へ供給できる仕組みを構築し、希少性の緩和によるの盗掘を防止を行なっています。

④サクラソウ保護を広める
学校で開かれる春の販売会やGWに自生地そばを訪れる観光客に、サクラソウ保護の重要性を説明しています。

更新日:2019.12.26  ※記事の内容は投稿当時のものです