生物多様性5つのアクションたべようふれようつたえようまもろうえらぼう

conserve 

(日本語) シギ・チドリ類のオアシス「なつみずたんぼ」の取組み

菜種・麦の収穫後のほ場に水を張ることで、夏場の水生生物の生息地を確保し、東アジアで減少が著しいシギ・チドリ類の生息場所を、山形県内に新たに作り出すことに成功した。連続して9年、活動継続中です。


シギ・チドリ類が飛来する「なつみずたんぼ」

農業者が、営農活動の延長として生物多様性の向上に貢献できないかと考え、山形県庄内平野にある海まで約8kmの農業地域で、2010 年から活動に取り組んでいます。今年で9年目。
麦・菜種の収穫後の6月末、ほ場に水を張って代かきをし、8月末まで水を切らさず湛水状態を維持します。(これを、なつみずたんぼと言う。)2010年以前は、水を張らず乾燥状態のまま数回耕耘して雑草の発生を抑え、10月の菜種・麦の播種までほ場管理していました。
なつみずたんぼを実施した理由は、ウスバキトンボやミズカマキリなどの水生生物などの生息地を確保し、東アジアで減少が著しいシギ・チドリ類の生息場所(中継地)を山形県内につくりだすことにありました。そして、湛水期間を長く保つことで、麦・菜種の連作障害防止という営農上の効果も期待しました。
なつみずたんぼは、これまで地域で行われてきた農作業手順の変更を伴い、実施期間中の水の確保や雑草対策、漏水管理、そして隣接する水田への影響などに対応しなければならず、地権者や周辺の耕作者などの理解と協力を得る必要があります。

実施するほ場の場所や面積は、毎年、農作業等の都合で変化するが、飛来してくるシギ・チドリ類や水生昆虫類にとって、環境の確保こそが重要のようです。これまで9年間継続し、2017年は9箇所、263アールに及びました。
活動は、ほ場での作業のほか、活動実施中の定期的な水管理(水の補給、漏水監視など)、水生生物調査、シギ・チドリ類、サギ類、猛禽類などの鳥類調査、水を張ることで発生する雑草調査、周辺ほ場への鳥害調査などを実施しています。
調査結果をまとめて、資料作成、写真展、消費者交流会やシンポジウムでの報告などを行い、普及にも努めてます。


なつみずたんぼの準備作業(代かき作業)

更新日:2018.12.27  ※記事の内容は投稿当時のものです