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「みんなの潟学-越後平野における新たな地域学-」の出版

越後平野の潟と人との共生の在り方を見つめ直し、地形、歴史、文化、民俗、動植物、利水など、多様な視点からふるさとを象徴する“潟”を読み解く本「みんなの潟学-越後平野における新たな地域学」を出版しました。

越後平野の湖沼は、古くから「潟」と呼ばれてきました。明治時代以降、新潟市は、この潟が多く強湿地帯であった越後平野をポンプの設置や放水路の開削で日本有数の穀倉地帯に変貌させ、本州日本海側初の政令指定都市へと発展してきました。無数にあった潟群は、その多くが水田または宅地となりましたが、現存する16の潟は、毎年ハクチョウやオオヒシクイ、ヨシキリなどの渡り鳥が飛来してくる生物多様性の豊かな自然環境として残されています。これらの潟は古くから人々とのつながりが深く、「里潟」として現在も人と潟との関わりが引き継がれています。

新潟市潟環境研究所(2014年度~2018年度)は、新潟市のアイデンティティである潟の魅力と価値を再発見・再構築することを目的に活動をしてきました。現在、研究所の役割は潟のネットワーク事業として新潟市環境政策課に引き継がれています。

研究所では、大学研究者や専門家を研究員とし、調査・研究を行ってきたほか、潟周辺地域で活動する団体メンバーや有識者を外部相談員として迎え、行政との協力体制を築いてきました。これら関係者と市関係課との連携強化を図るため、情報共有や意見交換ができる場としてネットワーク会議を開催してきました。

このほか、WEBサイト「潟のデジタル博物館」での情報発信や、潟と共生してきた暮らしに焦点を当てた記録映像の制作をはじめ、ニュースレターの発行、シンポジウムの開催を通じて、研究成果や市内の16潟に関する情報を広く市内外に向けて簡潔明瞭に発信してきました。

潟の保全や魅力発信の活動を通し、これからの持続可能な地域づくりには、水を敵とする「水との闘い」から、水を友とする「水との共生」へ考え方を転換し、そのことを伝えていかなければならないと考え、2018年に研究所の5年間の調査・研究の集大成として出版した本が「みんなの潟学」です。

更新日:2019.12.26  ※記事の内容は投稿当時のものです